家族の健康を守る土壁の家 - シックハウス対策に最適 -

柱としっくい

「健康に暮らせる家に住みたい」

誰でもが願う、当たり前の願いですね。ここ数年、「建売の新築住宅を見て回ったら新築のニオイで気持ちが悪くなって…」、「シックハウス症候群で自然素材の家なら大丈夫かと考えて…」と、施主さんが初めてお会いした時に話してくださる事が多くなりました。そして「家は自然のもので作られていると思ってましたが、工場製品に囲まれているんですね」と、ある施主さんから指摘されました。

ご指摘の通り、いまの建築資材の多くは柱や梁の材木も含めて工場で作られた製品が多くを占めています。そういったものは石油系のボンドやプラスチック素材が使われており、どうしてもそれらから発散された物質によりシックハウス症候群(化学物質過敏症)にかかる人が増えています。家族を守る家が住む人の健康を蝕むなんて、そんな家に住みたくないのは当然ですよね。

化学物質を極力使わない土壁の家

私たち町家大工都倉の“伝統構法と土壁の家”は地域の森の木と田畑の土と自然素材で作られています。材木は東京と近隣の山で育った無垢材です※1。そのためにシックハウス症候群などの建材由来のアレルギー対策としてとても有効で、お問い合わせをいただくことが増えました。

土と竹で作った本物の土壁

最近、都心のビルにあるカフェなど土の壁を見かけることが多くなりました。土の風合いは一杯のコーヒーを更に美味しく装ってくれ、安らぎを与えます。表面を珪藻土や漆喰などで仕上げただけの壁なのですが、自然素材の土にはそれだけの力があるのです。

竹小舞
竹小舞に外側の土壁を塗った段階。このあと室内側も塗ります。

更に私たちがこだわっているのが、本物の土壁。昔からの小舞土壁という構造です。自然の中、田畑にある土にわらをき込み、しばらく寝かせて発酵させた土で壁そのものを作る、本物の土壁なのです。

日本伝統の土壁の家は、梁と柱と貫で組まれた骨組み(構造体)に竹と麻ひもで編んだ竹小舞が壁土を支えて作ります。写真は外側の壁土を塗った段階を室内から撮影したもので、このあと室内側にも壁土を塗って、サンドイッチ状に竹小舞を挟み、壁が出来上がります。

土と竹で、強度は大丈夫なの?と思われますよね。弱いんです。このあと“柔らかく包んで守る、伝統構法の家”で説明しますが、弱くはかない構造だからこそ、住み人を守るのが土壁の家なのです。地震の時、柔らかく揺れることで“伝統構法と土壁の家”は人を守ることができるのです。

伝統構法と土壁

伝統構法の梁と柱
複雑な梁も職人の手で作られる伝統構法の梁と柱

土壁は“伝統構法”と一体とならなければできない家造りです。伝統構法で作る土壁の家は、柱と梁という家の骨格を基本的には木と木を組み合わせてつなげる木組みという方法(左の写真)で建て上げます。柱の梁の材木を職人の手でひとつひとつ加工、人間が握手をするように、木を組み合わせて家を支えます。

それが寺社仏閣や古民家に見られる伝統構法と土壁の家なのです。法隆寺をはじめとするいまも残る何百年も前に建てられた家と同じ工法なのです。この伝統構法で作られた家の骨組みと、土壁は一体となって家を作り上げ住人を守り慈しみます。

土壁自体は左官職人の職分です。その土壁に大工の私たちがこだわるのはここにあります。左官だけでもできない、大工だけでもできない、ともに切磋琢磨しなければ建て上げられないのが伝統構法の土壁の家だからです。

土壁の家にこだわる理由

一般的な木造一戸建て住宅は在来構法という家造りです。金属でできた金具と筋交いという、壁に斜めに渡した材木でガッチリと家を固めてしまう構造で作られます。こちらもいろいろなメリットがあり、しっかりと家族を守る工法ですが、私たちが土壁と伝統構法にこだわるのには、古くから地震国日本で培われて来た技術が家を支え、住む人を守る力を持つからなのです。

健康に安心して暮らせる家、私たちにとって一番の願いですよね。

  • 健康に暮らせる
  • 地震に強い
  • 家族の資産になる
  • 伝統を受け継ぐ

【住み人レポート】湿度を調整して快適な暮らし

ヒノキ壁の風呂
旅館のようなヒノキ壁のお風呂。
お湯の冷めにくい白いホーローの浴槽。

ここからは“伝統構法と土壁の家”の住人である“あさりおん”編集部にバトンタッチ、住人だからこそわかる良さをレポートします。

あさりおん:

“伝統構法と土壁の家”に住み始めて3年を超えました。住み始めた頃は使い勝手が分からず、安心しきっていたので、うっかりお風呂に少しだけカビが生えた事※2がありましたが、それは住人の無精のため。以来、お風呂に入ったあとは換気扇と浴室の窓を晴れてる日は開けておく、雨の日は締めて浴室のドアを少しだけ開けておく、等の工夫しました。その結果、一番カビの心配な浴室にもカビの気配はないようです。少し前に気がついたのですが、浴室の檜の壁は拭き掃除もした事がないのに、いつもきれいで驚いています。


調湿と蓄熱性に優れている土壁

漆喰壁と杉床
柔らかな漆喰と杉板のコントラストが心地よい。あさりおん編集部。
増設可能なコンセントユニットは棟梁のアイデア。

蒸し暑い日も大丈夫!と言いたいのですが、それはさすがに東京の夏、無理でした。

最初の夏、土壁はどこまで大丈夫なのだろう?とエアコンを設置せずに過ごしてみたのですが、数台のiMacがいつも稼働している“あさりおん”編集部では発熱体が人間の側にある状態。さすがに現代の東京の夏ではそれは無理で、エアコンを設置しました。家で仕事をしているので、夏は一日中エアコンを付けていますが、驚いた事に以前借りていた1LDKの鉄筋コンクリート建築ビルの部屋よりも電気代が少なくてすむのです。床面積では3倍程度になっているというのにです…。

土壁には湿度を調節する機能とともに、蓄熱性という性質があります。熱を蓄える力が強いのです。冬なら暖房の熱が壁に蓄えられ、夏はエアコンで冷やした冷気が壁に蓄えられます。

厚い壁は断熱性もある?と考えやすいのですが、蔵のように厚い壁でなければ土壁には一般の薄い壁材よりちょっといい程度の断熱性しかありません。なので、我が家の壁にもしっかりと法令に従って、壁土の外に空気層を挟んで断熱材(ペットボトル素材※1)が入っています。そのおかげか、エアコンの効きがよく、蒸し暑いな!と感じた日も、室内では湿度はほぼ一定に保たれています。できれば、屋根の断熱材がもう少し厚かったら、もっと我が家は快適だったのかとも思います(ここで言ってしまっていいのかなぁ?w)。屋根裏を作らなかったため、屋根からの熱が直接伝わるのは、そう希望した施主の責任です。(笑)

1階は料理中と暑い日にしか使わない小さな7畳用窓用エアコンがひとつ。普段は2階のエアコンから流れてきた風だけで、家中が快適です。伝統の技と現代の知恵をきちんと融合している“新しい伝統構法と土壁の家”の力なのでしょう。

木の香りに癒される家

住んでいると慣れてしまい感じなくなるのですが、訪ねてくる方が声を揃えて言われるのは、「この家、木の香りがする」の一声。化学物質とは違って、木の香りは生活に染み付いて、住み人の一部になってゆくのかもしれません。外出先で自分の身体に木の香りを感じる時があります。土の香りといった方はいないので、土壁には匂いがないようです。(笑)

次のページは“住む人を柔らかく包んで守る、伝統構法の家”です
※1法令上、どうしても避けられない場合などは一部新建材が避けられない場合もございます。その場合は施主に説明の上、使用いたします。
※2環境、住まい方により発生する場合もあります
※文章中に伝統構法、小舞など聞き慣れない言葉がでてきます。詳しくは少しずつ記事をアップしていきます。お楽しみに。